寒い季節になりました。 最近では、筆者の住んでいる地域でインフルエンザが猛威を振るっています。
モル飼いの皆さんは、もし自分がインフルエンザにかかってしまったら…一番に何を心配しますか? お仕事や勉強のことでしょうか、それとも医療費の心配?もしかしたら、高熱で朦朧としてそれどころではないかもしれません。
ですが、ペットが自宅にいる場合、恐らく気になるのは、「これ、うちのモルちゃんにうつらないかな…?」と不安になる方が多いのではないかと思います。
冬になると毎年のように猛威を振るうインフルエンザ。
この記事では、インフルエンザがモルモットに感染するのか?その理由と対策を一緒に解説していきます。
万全の予防をしていても、思わぬ場所で感染してしまうインフルエンザとモルモットの関係をぜひ理解しておいてください。
人間のインフルエンザはモルモットに感染する?
結論から言います。 人間のインフルエンザは、モルモットにうつります。
実は、モルモットは犬や猫、うさぎよりも「人のインフルエンザをもらいやすい」動物なのです。
この事実は、あまり知られていませんが、医学界では常識とされている事実です。その特性ゆえに、モルモットは人インフルエンザウイルスの感染モデル動物として使われています。
なぜインフルエンザはモルにうつるの?

実は、ウイルスが感染するには、喉や鼻の粘膜に「受け皿(受容体)」が必要です。犬や猫、うさぎといった動物はこの受け皿の形が人間とは少し違うため、簡単には感染しません。
しかし、モルモットの呼吸器には、人のインフルエンザウイルスとぴったり合う受け皿が存在するのです。ウイルスが感染するメカニズムは、よく「鍵と鍵穴」の関係に例えられます。
インフルエンザウイルスは「鍵」を持っており、動物の喉や鼻の粘膜にある「鍵穴(受容体)」にピタリとハマることで、初めて細胞内に侵入して増殖することができます。
通常、犬や猫、うさぎなどの動物は、人間とは形の違う「鍵穴」を持っています。そのため、人間用のウイルスの鍵を使っても合わず、簡単には感染しません。これを専門用語で「種の壁」と呼びます。
しかし、モルモットはこの「種の壁」が非常に薄い、稀な動物です。 驚くべきことに、モルモットの呼吸器には人間とそっくりな形の「鍵穴」がたくさん存在しています。
そのため、人のインフルエンザウイルスが何の抵抗もなく「カチャリ」と鍵を開けて侵入し、体内で爆発的に増殖してしまうのです。
この「人間と同じように感染してしまう体質」があるため、モルモットが医学研究で重宝される理由であり、同時に家庭内感染のリスクが高くなる最大の理由になってしまうのです。
感染した時の症状

もしモルモットにインフルエンザが感染してしまうと、人間と同じようにひどい呼吸器症状が現れます。
具体的に言うと、頻繁なくしゃみや鼻水、咳が出るほか、耳や足が普段より熱くなる発熱が出現。
なかでも最も怖いのは、ぐったりして動かなくなったり、食欲が落ちてしまうことでしょう。常に食事が必要なモルモットにとって、食欲廃絶は致命的です。
特に免疫力の低いベビーや高齢の子、持病のある子は重症化しやすく、あっという間に肺炎へと進行してしまうリスクがあります。
「ただの風邪」と甘く見ず、呼吸が荒い・食べないなどの異変を感じたら、すぐにエキゾチックアニマル対応の病院を受診してください。早期発見が小さな命を救います。
「風邪」や「コロナ」はどうなの?
「インフルがうつるなら、普通の風邪やコロナも危ないのでは?」と心配になるのではないでしょうか。
前述したように、ウイルスが感染するためには、受け皿が必要になります。 ここでは冬場に気を付けたい病気を表にまとめました。
| 病気の種類 | 感染リスクと詳細 |
|---|---|
| 季節性 インフルエンザ |
【危険度:高】 ガッツリうつります。最大級の警戒をしてください。 |
| 新型コロナ (COVID-19) |
【危険度:低】 ハムスターは感染しやすいことが分かっていますが、モルモットは抵抗性が強く、現状では「ほとんど感染しない」と言われています。 |
| 普通の風邪 |
【危険度:低】 ウイルスの種類が違うため、基本的にはうつりません。 |
飼い主さんが発症!その時どうする?
もしあなたが「39度の熱が出た!インフル陽性だった!」となった時、大切な家族であるモルモットを守るために取るべき行動があります。
インフルエンザの苦しみをモルモットに与えないようにするために、確認して行動に移しましょう。
最適解:お世話を代わってもらう
これが最高にして最適な手段です。もし、家族にお願いできるなら、あなたが完治するまでモルモット部屋への立ち入りを禁止し、お世話をすべて任せてしまいましょう。
結局、最善の予防策は、ウイルス源である飼い主さんがモルモットに「物理的に接触しないこと」です。
もし同居のご家族がいらっしゃるなら、迷わずにお世話をバトンタッチしてください。
あなたが完治するまでは、モルモットがいる部屋への立ち入りを一切禁止し、ご自身は別室で隔離生活に徹するのが理想です。
普段お世話をしていない家族に任せるのは不安かもしれませんが、無理をして近づく方が危険です。
「ペレットの量」や「野菜の種類」などをメモやLINEで具体的に伝え、完治するまでは完全に任せてしまいましょう。「愛しているからこそ、今は会わない」という選択が、小さな命を確実に守ります。
注意点として、インフルエンザは熱が下がっても体内にはウイルスが残っていて、感染源になることが少なくありません。熱が下がってもすぐにモルと関わるのではなく安静に安静に努めましょう。
最悪、お世話が完璧でなくても水とペレット、チモシーが大量に準備されていればモルモットは何とかなるので、家族にお世話を丸投げして大丈夫です。どうしても気になる場合は、日頃からペットカメラを用意しておく方法もあります。
一人暮らし・ワンオペの場合

もし飼い主さんが、一人暮らしの場合はワンオペで看病することになります。この時、愛するモルモットを守るために心を鬼にして「完全防備」で挑んでください。
まず、お世話の前後には手洗いと消毒を徹底してください。ウイルスは手から口へ移りやすいため、指先だけでなく肘まで念入りに洗うことが重要です。そして、咳やくしゃみの飛沫を浴びせないよう、マスクの着用は必須になります。
飼い主さんが一番辛いのはスキンシップを断つことでしょう。しかし、抱っこや頬ずり、キスは感染リスクを跳ね上げます。
完治するまでは「ごめんね」と心で謝りながら、エサと水の交換、トイレ掃除だけをサッと済ませ、すぐにケージから離れてください。
また、ウイルスは乾燥を好むため、加湿器をフル稼働させて湿度を50〜60%に保ちましょう。
適切な湿度はウイルスの活性を抑え、モルモットを守るだけでなく、飼い主さんの喉の回復も助けてくれます。
冬場にやっておきたい予防策
飼い主さんがウイルスを持ち込まないことが最大の予防策ですが、万が一に備えてモルモット自身の「防御力(免疫力)」も底上げしておきましょう。
まずはビタミンCの強化です。モルモットは体内でビタミンCを作れない動物ですが、特に冬場は寒さのストレスに対抗するために、体内のビタミンCを大量に消費してしまいます。
不足すると免疫が落ちてしまうため、パプリカなどの野菜やサプリメントを活用していつもより多めに補給し、体の内側からバリア機能を高めてあげてください。
次に重要なのが徹底した温度と湿度の管理です。寒さはダイレクトに体力を奪い、免疫力を低下させる原因になり過度な乾燥はウイルスが活性化する要因になります。
エアコンだけでなくペット用ヒーターやケージ周りの断熱材を駆使し、冷え込みが厳しい夜間であっても、生活スペースの温度が20℃を下回らないよう環境を整えてあげましょう。
また、可能であれば、加湿器を用意して室内の過度な乾燥を予防してください。
モルモットが健康に過ごせる最適湿度は40%〜60%です。40%未満ではウイルスに感染しやすくなり、60%を越えると真菌(カビ)が繁殖しやすくなってしまいます。冬はインフルエンザウイルスが死滅しやすい湿度50%〜60%を狙いましょう
加湿の小技


エアコンを使用して室内の温度を調整していると、簡単に乾燥状態になってしまいます。
加湿器を併用するのが理想ではありますが、加湿器もただではありませんし、昨今の物価高では気軽に購入するのも難しいのが現実です。
実際に筆者宅にも加湿器はありません。それでも湿度が保持できている理由は、室内に干している洗濯物…。
実は毎日のモルモットスペースを掃除した後に、洗濯した敷物やタオル類を室内に干しているのです。元々は、狙っていたわけではありませんが、意外と良い感じに湿度保持に役立っています。
このように、加湿器が無くても少しの工夫で、室内の湿度を保持することが可能となります。
他にも、バケツに水を入れて丸めた新聞紙を詰め込んでおく方法や、濡らしたバスタオルをエアコンの側に吊るしておく方法が効果的です。
ご家庭の環境に合わせて、加湿方法を選んでみてください。
まとめ:飼い主の健康が一番のペット孝行
「モルモットにインフルエンザがうつる」というのは、意外と知られていない事実です。
もし今、ご自身がインフルエンザで寝込んでいる最中にこの記事を読んでいるなら、どうか罪悪感を持たずに、今はゆっくり休んでください。
あなたが一日も早く元気になって、また笑顔で「〇〇ちゃん!」と名前を呼んであげることが、モルモットにとって一番の幸せです。
誰かにお世話を頼める人は、思い切って丸投げしてください。 もし頼れる人がおらず、自分でお世話をするしかない場合は、最低限のことだけサッと済ませて、あとは布団に入りましょう。
今年の冬も、人間もモルたちも、みんなで元気に乗り越えましょうね!