いつもはのんびりとマイペースで過ごしている印象のデグー。
しかし、ひとたびケージから解放して「部屋んぽ(室内散歩)」を始めると、とんでもないことになってしまう可能性があります。
デグーは本来、非常に好奇心旺盛で活発な動物です。ケージの中では落ち着いて見えるかもしれませんが、広い場所に出るとその本来の身体能力が発揮されます。
このため、準備なしでケージから出すと、思わぬ方向に走り出したり、家具の隙間に入り込んでしまったりすることがあります。
本記事では、デグーの部屋んぽ中に発生しがちな脱走や事故のリスクを、デグーの特性を交えて解説していきます。
リスクと事前対策をしっかり押さえれば、部屋んぽはデグーとの距離を縮める最高に楽しい時間になります。
この記事を参考に安全な環境を整えて、安心して部屋んぽを楽しみつつ、デグーとの絆をより一層深めていきましょう!
デグーの部屋んぽは危険⁉
結論から言うと、「デグーをそのまま室内で散歩させる(部屋んぽさせる)と危険を伴う場合があります」。
デグーの性格によって異なりますが、多くの場合、デグーは好奇心旺盛で活発です。飼い主さんが油断していると、その隙をついて、あっという間に脱走してしまいます。
特にデグーをお迎えしたばかりの初心者飼い主さんは、その速さに焦ってしまい、対応を間違えがちですので、注意が必要です。
注目すべきデグーの特性
筆者は、デグーの飼育をはじめてから知ったのですが、彼らは想像以上に活動性が高いです。
少し油断すると、すごい勢いで走り出して、筆者の前から姿を消してしまいます。そんなデグーの特徴を解説していきます。
動画は、筆者の手から逃れて、モルのケージに突撃!やりたい放題のデグーさんです。
足がはやい
デグーはとにかく足が速いです。はじめて平地で走るデグーを見たら、きっと驚くことでしょう!
初動のダッシュ力はもちろんですが、持久力もかなりのもので、一瞬でも目を離すと視界から消えてしまいます。
この素早さで狭いすき間にも簡単に入り込むため、万が一散歩中に脱走されると捕まえるのが非常に困難です。
ジャンプ力もすごい
デグーはかなり優れたジャンプ力を持っています。
デグーのジャンプ力はハムスターやモルモットよりも遥かに高く、自分の身体の約3倍~5倍もの高さを飛ぶことができると言われています。
つまり10㎝の体長のデグーであれば、30cm~50cmほどの壁を簡単に飛び越えることができるのです。
このため、低いフェンスや障害物では簡単に突破されてしまいます。
縦方向の動きが凄い
デグーの特徴として、モルモットやうさぎと異なり、縦方向に移動することが得意な点が挙げられます。
デグーは、もともとアンデスの高地で生活している動物です。このため、立体的に動き回る能力を持っているのです。
先ほど紹介したジャンプ力に加えて、器用な手の指と強靭な脚力を活用して、金網やカーテン、柱などをどんどん登っていきます。
高い知能
デグーの知能は非常に高く、人間の2~3歳児並みとされています。
この知能の高さにより、デグーは道具を使ったり、食べ物の場所を覚えたり、戸棚の開き方を覚えたり、ケージのロックを自分で外すこともあります。
つまり、デグーが悪戯や逃走のために知能を活用し始めると、どんな事態になるかは火を見るよりも明らかです。
何でもかじる習性
デグーは齧歯(げっし)動物で、常に物をかじる習性があります。
このため、散歩中や逃走中に家具・家電、電気コード、壁紙など、家の中のあらゆるものを齧る可能性があります。
特に電気コードを齧ることは非常に危険で、感電のリスクや火災の原因になる可能性があるため徹底した対策が必要です。
脱走・事故を未然に防ぐ!安全な部屋んぽエリアの作り方

デグーの部屋んぽで最も重要なのは「脱走させない環境作り」です。
デグーの能力を甘く見てはいけません。ここでは、安全に遊ばせるための環境作りのポイントを紹介します。
登れない壁(フェンス)を用意する
最も安全なのは「部屋んぽ専用のサークル」を作ることです。しかし、一般的なペットフェンスでは不十分な場合があります。
- 高さ: 最低でも50cm、できれば70cm以上の高さが必要です。
- 素材: 金網タイプはデグーが足をかけてよじ登ってしまう可能性があります。ツルツルした素材のパネルタイプ(プラスチックやアクリル)が推奨されます。
電気コードは徹底ガード
部屋んぽエリア内にコンセントや電気コードがある場合、ほぼ100%齧られると思ってください。
感電事故を防ぐため、以下の対策を行いましょう。
- コードカバー: 100円ショップやホームセンターで売っている「スパイラルチューブ」や「配線カバー」を巻き付けます。
- 隠す: 家具の裏に隠すか、ケーブルボックスに入れて触れられないようにします。
家具の隙間を塞ぐ
デグーは数センチの隙間があれば入り込みます。タンスの裏や冷蔵庫の裏に入り込まれると、救出は困難を極めます。
入られては困る場所には、プラダン(プラスチック段ボール)やブックエンドなどを置いて、物理的に侵入できないようにしましょう。
部屋んぽ中に起きるリスク

デグーを室内で散歩させていると、思わぬアクシデントが発生することがあります。
基本的には、前述した特徴を理解して対策しておけば予防できますが、注意し過ぎることはありません。
そこで、筆者が遭遇した注意ポイントを紹介していきます。
脱走
動画は脱走したうえ、インコのケージに侵入してご飯を泥棒しているデグーさんです。
デグーは驚くほどのジャンプ力と速さを持っているため、低いフェンスや障害物では簡単に逃げ出してしまう可能性があります。
30cm以上の高さをジャンプすることができ、スピードも非常に速いため、一度逃げ出すと捕まえるのが難しいです。
デグーの能力を考慮すると、高いフェンスやしっかりとした障害物を用意することが不可欠と言えます。
例えば、サークル内で散歩させる場合は、高さを十分に確保し、デグーがジャンプしても逃げ出せないようにすることが重要です。
さらに、デグーが脱走した場合の対策も考えておく必要があります。
部屋の中にデグーが隠れやすい隙間や穴があればしっかりと塞ぎ、脱走した場合でもすぐに見つけられるようにしましょう。
デグーが好きな餌やおやつを使っておびき寄せる方法や、隠れ家にしそうな場所を把握しておくことも有効です。
家具や電気製品への被害
デグーは齧歯動物である特性上、常に物を齧る習性があります。
さらに好奇心も旺盛なため、家具や電気製品が齧る対象となることがあり、家具の破損や電気事故のリスクが高まります。
特に電気コードを齧ることは感電の危険があり、場合によっては火災の原因にもなるため要注意です。
筆者は、机の上に置いていたiPhoneの充電ケーブルとマウス、キーボードのケーブルをかじられました。
幸いデグーの健康被害はなかったのですが、キーボードとマウスはケーブルを保護していたにもかかわらず齧られたので、無線式のものに交換しました。
費用が気にならなければ、室内のケーブルレス化を進めて、無線式のもので揃えても良いかもしれません。
飼い主さんによる「踏みつけ」事故
実は部屋んぽ中に最も多い悲しい事故の一つが、飼い主さんが誤ってデグーを踏んでしまうことです。
デグーは素早く、音もなく足元に忍び寄ってきます。また、人に懐いているデグーほど、飼い主の後ろをついて歩く傾向があります。
ふとんや座布団を置いてある場合は、その下に潜り込んでいることもあるので要注意です。
- 部屋んぽ中は極力歩き回らない(座って見守る)
- 移動する際は足を上げず、すり足で歩く
デグーを踏まないように、この2点を徹底してください。
ドアや引き出しへの挟み込み
高い知能を持つデグーは、少し開いた引き出しやクローゼットに興味津々です。
飼い主さんが気づかずに引き出しを閉めてしまったり、デグーがドアの蝶番(ちょうつがい)側にいることに気づかずドアを動かしてしまったりして、挟まれる事故が起きています。
部屋んぽ中は、家具の開閉を極力控えるようにしましょう。
電気コードを齧ることは感電の危険があり、場合によっては火災の原因にもなるため要注意です。
万が一逃げ出したデグーを捕まえる方法

どんなに対策しても、ちょっとした隙にサークルを飛び越えたり、バリケードを突破されたりすることはあります。
デグーに逃げられると焦ってしまい、必死に追いかけてしまいがちですが、飼い主さんが必死になればなるほど、デグーも「追いかけっこだ!」と興奮したり、恐怖でさらに逃げ出したりします。
散歩中にデグーが逃げ出しても、まずは深呼吸して冷静に行動しましょう。
おやつ作戦
デグーが逃げ出してしまった場合、お気に入りのおやつや餌を使っておびき寄せる方法が効果的です。
デグーは食欲旺盛なので、新鮮な野菜やペレット、いつも食べているおやつを見せると、飼い主さんの元に戻ってきてくれることがあります。
ただし、手元まで来てくれてもその場で捕まえるのは難しいことが多いです。初回で捕獲に失敗すると、「近づくと捕まえられる」と学習してしまい、その後はおやつに反応しにくくなる場合もあります。
そのため、おやつで直接つかまえるのではなく、ケージの中に誘導する方法がおすすめです。
手順はシンプルです。まず、デグーの好きな餌やおやつを用意します。乾燥野菜や大好きなおやつなど、香りや嗜好性の高いものを使うと効果が見込めます。
次に、それをデグーの視界に入る場所へ置き、興味を持って近づいてくるのを待ちましょう。
デグーが反応したら、ケージのドアを開けておやつをケージ内に置き直し、自然に中へ入るように誘導します。
普段あまり与えない特別なおやつは注意を引きやすい一方で、いつも食べ慣れているおやつには安心感を与える効果も期待できます。
なお、おやつ作戦を実行する際は、デグーが落ち着いているタイミングを選ぶことが大切です。焦って追いかけるよりも、静かに誘導した方が成功しやすいでしょう。
「袋のカサカサ音」や「おやつの瓶を開ける音」を覚えさせておくと効果的です。
ケージに誘導作戦
デグーが逃げ出した場合、自分でケージに戻れるようにする方法も効果的です。
デグーが見つけやすい場所にケージを移動して、ドアをしっかりと開けておきましょう。デグーをケージに誘導するために、先ほどのおやつ作戦をあわせて実行しても良いでしょう。
ご自宅のデグーが好きなおやつや餌をケージの中に置いておきましょう。デグーは食欲旺盛で、特におやつに対する興味が強いため、自然にケージに戻ることが期待できます。
デグーがケージに戻るのを見守る際には、無理に追いかけたり掴んだりしないよう注意が必要です。デグーは非常に敏感な動物なので、急な動きや無理な接触はストレスを引き起こします。
そのため、デグーが自らケージに戻るのを待ち、自然な行動を促すことが最善です。
砂風呂作戦
デグーがいつも砂浴びをしているお風呂を使用するのも効果的です。
デグーはきれい好きで、砂浴びが大好きです。そのため、砂が入ったお風呂を見える場所に設置してあげると、飛び込んでくることがあります。
筆者宅のデグーは、おやつ作戦よりも砂風呂作戦の方が成功率が高いです。
特に、交換したばかりのきれいな砂がたっぷり入っているお風呂には非常に反応が良く、見えやすい場所に置いておくと勢いよく走ってきます。
捕獲用の道具を使用
おやつを使ってもケージを移動してもデグーが戻ってこない場合、最終手段として捕獲箱を使用するのも一つの方法です。
ただし、これらの道具を使用する際には、デグーを傷つけないように慎重に扱うことが重要です。
デグーは非常に敏感な動物なので、基本的には自主性に任せるか、ストレスを感じさせないように優しく捕獲することが求められます。
道具を使い積極的に捕まえに行くのは、信頼関係を損なう可能性がある最終手段だと考えておきましょう。
捕獲用のネットを使用する場合、デグーを傷つけないように柔らかい素材のネットを選ぶことが推奨されます。
ネットをデグーにかける際には、素早くかつ慎重に動き、デグーが逃げる前に確実に捕まえるようにします。その後、ネットの中で暴れないようにゆっくりと扱い、落ち着かせます。
捕獲箱を使用する場合は、デグーが自ら入るように工夫します。
ケージを使用したときと同じように、捕獲箱の中にデグーの好きなおやつや餌を置き、自然に誘導する方法が有効です。
デグーが捕獲箱に入ったら、静かにドアを閉め、安全に確保します。この方法は、デグーにとってストレスが少なく、安全に捕まえることができます。
捕獲用の道具を使用する際には、デグーを驚かせないように注意することが重要です。
急な動きや大きな音は避け、落ち着いた環境で静かに対応します。デグーが興奮している場合は、少し時間をおいて落ち着かせてから再度試みると良いでしょう。
隠れ場所をチェック
もし、飼い主さんが目を離した隙にデグーが逃げ出した場合、どこにいるのか分からなくなります。
そういったときのために、隠れられそうな場所を把握しておきましょう。
デグーは狭い隙間や暗い場所に隠れることが好きな動物です。逃げ出したデグーを見つける際には、家具の裏や棚の下など、隠れそうな場所を丁寧に探すことが有効です。
デグーは自然の環境でも岩場や藪の中に隠れる習性があり、この特性は室内でも変わりません。
デグーが隠れそうな場所を探す際には、以下のポイントを参考にしてみてください。
デグーが隠れやすい場所
- 家具の裏や下:ソファーやベッド、キャビネットなどの家具の裏や下はデグーが好んで隠れる場所です。懐中電灯を使って奥までしっかりと確認しましょう。
- 暗い場所 :デグーは暗い場所を好むため、クローゼットや物置きの中などに隠れることがあります。これらの場所は静かで安全だと感じるため、逃げ込む可能性が高いです。
- 狭い隙間 :デグーは細長い体を活かして狭い隙間に入り込むことができます。壁と家具の間や、床と家具の隙間なども見逃さないようにしましょう。
- 温かい場所 :デグーは温かい場所を好むため、暖房器具の近くや毛布の中など、温かくて居心地の良い場所にも隠れることがあります。これらの場所もチェックしてみてください。
部屋んぽ前に確認!
部屋んぽ前に確認したい項目をチェックリストにまとめました。 デグーをケージから出す前の安全確認にご活用ください。
✅ 部屋んぽ前!安全確認チェックリスト
ケージを開ける前に、この7項目を最終チェック!
-
窓とドアは完全に閉まっていますか?
(家族が急に開けないよう声かけも忘れずに) -
フェンスの高さ・隙間は大丈夫?
(50cm以上推奨。ジャンプの踏み台になる物も撤去) -
電気コードは隠れていますか?
(スパイラルチューブや家具の裏でガード) -
家具の危険な隙間は塞ぎましたか?
(冷蔵庫やタンスの裏に入り込まないように) -
齧られて困る貴重品は退避させましたか?
(スマホ、リモコン、大事な書類、財布など) -
床に誤飲しそうな物はありませんか?
(薬、小さなゴムやプラスチック片、観葉植物など) -
飼い主さんの「すり足移動」準備はOK?
(踏みつけ防止のため、足は上げずに移動しましょう!)
まとめ
本記事では、デグーを室内で散歩させる際に発生するリスクを紹介・解説してきました。
付き合っていくと理解できるのですが、デグーはこちらが考えているよりも頭が良く、身体能力も高いです。
また、好奇心旺盛でいたずら好きな面もあるので、散歩中に思わぬ行動に出ることがあります。
デグーの特性とそこから生じるリスクを理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
特に、デグーは驚くべきジャンプ力や速さを持ち、高い知能や何でも齧る習性があるので、脱走や予期せぬ行動を防ぐための環境整備が必要です。
まず、デグーのジャンプ力と速さを考慮し、ケージやフェンスの高さを十分に確保することが重要です。さらに、家具や電気製品を保護し、デグーが齧って危険な物を口にしないようにする対策も必要です。
脱走した場合の対策として、デグーが隠れやすい場所を事前に確認し、好きな餌やおやつを使っておびき寄せる方法を用意しておきましょう。
デグーの高い知能を活かし、環境に適応できるよう工夫することで、彼らの生活をより安全で豊かなものにすることができます。
適切な環境を整え、リスクを理解した上で対策を講じることで、デグーとの生活をより一層楽しむことができるでしょう。
デグーの健康と安全を守りながら、彼らの活発な性格を活かし、楽しく充実した時間を過ごしましょう。
本記事がデグーの安全な散歩と飼い主さんとの素敵な時間作りの役に立てば幸いです。