ご自宅のうさぎの首が少し傾いて見えたり、急に倒れて手足をバタつかせる様子を目にして、不安になっていませんか。
ほかにも、片方の目だけが腫れていたり、水やごはんを口にしなくなっている。これらはエンセファリトゾーン症のサインかもしれません。
実は、筆者宅のうさぎ「きなこ」も、首の傾きに気がついたときには、エンセファリトゾーン症が進行してしまっていました。きなこは現在も治療を続けていますが、エンセファリトゾーン症が治癒しても後遺症が残る可能性があると説明を受けています。
本記事では、うさぎを飼育している飼い主さんに向けて、見落としやすいサインを含む代表的な症状や異変をわかりやすく解説します。受診の目安、診断と治療の流れ、家庭で今すぐできるケア、そして感染対策もまとめました。
ご自宅のうさぎの様子が気になったときは、ぜひ参考にしてください。
異常が見られたら病院受診はするべき?
結論としては「YES!」です。可能であれば当日中に、難しい場合でもできるだけ早く受診しましょう。
うさぎは体調不良をぎりぎりまで隠す動物です。そのため、飼い主さんが異常に気がついた時点で、病気がすでに進行している可能性があります。
首の傾きが目立つ、転倒や横になったまま手足をバタバタさせる、けいれんや意識もうろう、目の白濁や強い充血、これらが確認できたら、早急に対応を取りましょう。
また、うさぎは短時間の絶食でも腸の動きが落ち、「胃腸うっ滞」を起こしやすい動物です。6〜8時間以上の不食・不飲は緊急サインなので要注意です。
受診時は、症状がわかる動画や写真、食事量・排泄の記録、直前の出来事(落下・暑熱・ケンカ等)のメモを持参すると、診断がスムーズに進みます。
受診時の注意点!
- 当日受診:不食・不飲6〜8時間以上/斜頸進行/転倒増加
- 持参物:症状動画/食事・排泄・発症時刻のメモ/体重記録
- 救急対応:呼吸苦・意識障害・痙攣持続
- 受診先はうさぎ診療に慣れた病院を優先
うさぎのエンセファリトゾーン症とは?

エンセファリトゾーン症は、とても小さい寄生原虫が原因で発生する病気です。症状の範囲は広く、脳・神経、目、腎臓など多くの臓器に及び、炎症や機能障害を引き起こします。
この寄生原虫は、出生時に母体から垂直感染で保有しているケースが多く、感染自体を完全に防ぐのは、ほぼ不可能です。ただし、保菌していても健康であれば、症状が出ることなく一生を過ごすうさぎも珍しくありません。日頃から健康を維持できるようにお世話をし環境を整えることが、結果的に予防につながります。
また、症状が出ていても、食事と水分をしっかり摂れていれば、直ちに命に関わるリスクは下がります。このため、日々の食事量や飲水量を把握しておくことも大切です。
典型的な症状としては、斜頸やふらつき・転倒、ローリング、眼振、けいれんのほか、目の白濁(白内障)、赤み、腫れなどの目の異常が見られます。慢性化すると、多飲多尿や体重減少が見られることもあるようです。
なお、似たような症状は、中耳炎・内耳炎、外傷、脳炎、熱中症、低血糖や低カルシウム血症などでも起きるため、自己判断で様子を見るのは非常に危険です。気になる異変があれば早めの受診を検討してください。
E. cuniculiの症状
- 神経:斜頸/ふらつき/眼振/痙攣
- 眼:白内障/ぶどう膜炎/腫れ・痛み
- 腎:多飲多尿や痩せ(慢性)
※鑑別内容が多く、専門評価が必須です。
エンセファリトゾーン症は、臨床症状+検査+治療反応で総合的に診察するのが一般的です。
診察・治療方法と費用
あくまでも筆者の事例になりますが、初診時は症状の聞き取りから始まり、レントゲン撮影が行われました。当初は、斜頸が目立っていなかったこともあり、神経症状の原因の一つである前庭疾患や、上部気道の不調が疑われていました。また、同時に毛球症による胃腸の不調も考えられていたようです。
この時は、毛球症に対して緩下剤と食欲増進剤、抗菌薬が処方されました。
エンセファリトゾーン症が疑われたのは、1週間後の再診時です。そのときには斜頸が目立つようになっており、急遽、血液検査が行われ、駆虫薬が処方されました。
このように、早期に受診しても初診で確定診断に至らないことはあります。一度受診しても、新たな異常が見られた際にはすぐに病院へ連絡できる体制を整えておくとよいでしょう。
治療の柱は駆虫薬ですが、即効性は期待できず、1〜2か月の服薬継続と経過観察が必要になることがあります。たとえ原因である寄生原虫を駆除できても、後遺症として斜頸が残る場合があるらしく、筆者としては不安が尽きません。
きなこの診察費用
- 初診料:¥700
- 再診料:¥500
- レントゲン:¥4000
- 血液検査:¥15000
- 駆虫薬:¥2900
- 緩下剤:¥2100
- 抗生物質:¥1900
※薬は2週間ごとに処方されるので、その都度費用が発生します。
費用は地域や病院の設備で大きく変わるため事前に病院側に確認しておいた方が良いでしょう。筆者は検査費用が不足して悲惨なことになりました。
感染対策・在宅ケアの注意点

エンセファリトゾーン症は、人獣共通感染症です。主に免疫が弱い方(高齢者・乳幼児・妊娠中の方・基礎疾患のある方・免疫抑制中の方)に感染すると大きな問題になることがあります。
E. cuniculi に感染したうさぎは、ケージを分けてお世話しましょう。とくに、糞尿の速やかな処理、清掃時の手袋着用、食器や給水ボトルの洗浄と十分な乾燥、お世話後の手洗いを徹底してください。
転倒時のけが対策として、ケージ内に毛布や厚手のタオルを敷いたり、滑りやすい床や段差をなくす、といった環境調整を行うと思わぬけがの予防につながります。
家庭での感染対策チェックリスト
□ 使い捨て手袋を着用(清掃・投薬・ケア前後)
□ ケア後は石けん+流水で30秒以上の手洗い
□ 顔・目・口を触る前に必ず手指衛生
【環境管理】
□ ケージは分けて管理(共有禁止)
□ 糞尿はすぐに回収し密閉ゴミ袋へ
□ トイレ・床材は毎日交換、ケージは定期清掃
□ 清掃用具(スポンジ・ブラシ)は個体別に分ける
□ 清掃後は十分に乾燥させる(湿気を残さない)
【食器・給水ボトル】
□ 毎日洗浄(ぬるま湯+中性洗剤→よくすすぐ)
□ 週1回を目安に念入り洗浄/天日干しで乾燥
□ 共有禁止、個体名ラベルで取り違え防止
【居住スペースと安全】
□ 転倒対策:ケージ内に毛布・厚手タオル
□ 滑りやすい床・段差をなくす
□ ケージ周りの動線を確保(急な抱き上げを避ける)
【取り扱い時の注意】
□ 排泄物や汚染物に素手で触れない
□ 洗濯物は汚れ別に分け、十分に乾かす
□ 免疫が弱い家族はケア後の手洗いを徹底
【観察・記録】
□ 食事量・飲水量・排泄の量と質を毎日メモ
□ 斜頸・ふらつき・ローリング・眼の赤み/白濁をチェック
□ 異常は写真/動画を撮り、受診時に提示
【受診・連絡の目安】
□ 6〜8時間以上の不食/不飲
□ けいれん、意識もうろう、転倒が増えた
□ 目の強い充血・痛み・白濁の進行
他にペットがいる場合は、隔離することも大切です。
まとめ
本記事では、うさぎのエンセファリトゾーン症について、筆者の体験をもとに解説しました。
E. cuniculi は、多くのうさぎが保有する寄生原虫です。免疫状態が低下すると症状が出ることがあり、主な症状は斜頸、転倒・ローリング、目の白濁や充血・腫れなどです。これらの症状が見られた場合には、自己判断で様子観察をしないで、早急に動物病院を受診しましょう。
診断は、症状・検査所見・治療反応を総合して進み、治療は駆虫薬に加えて対症療法と在宅ケアを、状態に合わせて組み合わせます。特に食事量と水分摂取の確保が重要で、それらが保てていれば直ちに命に関わる事態に至る可能性は下がります。日々の摂取量の把握を心がけてください。
E. cuniculi は人や他の動物にも感染する可能性があるため、治療中の衛生対策は非常に重要です。とくに高齢者・乳幼児・妊娠中の方、基礎疾患がある方や免疫抑制中の家族がいる場合は、安全に直結します。ケージ内を清潔に保ち、お世話する人は手洗いを徹底してください。
また、E. cuniculi の治療が終了しても、うさぎに斜頸などの後遺症が残ることはあります。それでも、食事がしっかりと摂取できて体調管理ができていれば、寿命を全うできる例は少なくありません。焦らずに、今できる一歩から始めましょう。